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斥候の決断

彼の任務は偵察だった。
敵兵の存在を察知し報告する。
戦う必要はなかったし、彼にそのつもりもなかった。

しかし差し迫る状況に彼は迷っていた。
いや、迷う暇はなかった。
資源採取場に向かう農民たちに敵ハサーの一団が
襲い掛かろうとしていたのだ。

任務を全うするだけなら、彼は本陣に戻って
ただ報告すれば良かった。

しかし、彼の脳裏にふと、こんな考えが浮かんだ。
自分が殴りかかってハサーにスローダウンをかければ、
農民たちの何人かは塔まで逃げ込めるのではないかと。

それをやれば彼の命はないだろう・・・。
もともと別の部族である彼に、そんな義理もない。

だが、目の前で起ころうとしている悲劇を見過ごすことはできない。
彼はそんな男だった。

彼は一瞬の迷いの後・・・



sekkou.jpg

仲間を呼んで敵ハサーを撃破したのであった。
めでたし、めでたし。

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